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ソフトウェアの受託開発に伴う赤字案件の発生について記載しております。

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受託開発に伴う赤字案件の発生


受託開発に伴う赤字案件の発生の現状及び問題点

  1.ソフトウェアの受託開発案件について、
    開発途中で採算が悪化し、赤字が発生してしまう案件が増加したといわれています。
    赤字案件の発生は、金額によっては経営成績に大きなインパクトを与えることになります。
    そのため、不採算案件の排除と会計的な手当の必要性が指摘されています。
    しかしながら、現行の会計基準上、赤字案件について計上すべき損失額の考え方が明確でないと言われており、
    計上すべき損失額の算定方法が統一されていません。
    赤字案件を会計的な手当もなく放置することにより、損失の先送りが行われる可能性があります。

  2.プロジェクトが失敗し、赤字に至る主たる原因は以下のとおりです。
      @ コストの見積り誤りによる赤字化
      A ユーザーとの仕様決め、仕様確認の甘さから、作り直しによる追加作業により赤字化
      B 要求された機能・性能をだすことができないなど、品質不良による追加作により赤字化

       赤字案件についての損失計上が検討のポイントとなります。

会計基準による対応

   不採算案件の排除と会計処理における手当の必要性が指摘されています。
   計上すべき損失額の算定方法については、
   会計基準によって明確にした上で必要な会計処理が行われることが期待されています。
   なお、既に赤字案件に対する損失計上を行っている企業の中には、計上すべき損失額について
   次の二つの考え方が存在しています。

    @ 「既に損失として発生している金額を計上すべき損失額の限度とすべきである」という考え方。
      ※ そもそもコストの見積もりを誤ったために赤字が発生したのであるから、
        将来発生すると見込まれる損失額に合理性を見出すことはできないとする考え方。

    A 「将来発生が予想される損失も含めて損失を計上すべきである」という考え方。
      ※ 赤字プロジェクトが経営に与えるインパクトを考慮すれば、
        発生が予測されるコストを合理的に見積もる努力をベンダーは行うべきである。
        その結果算定された損失は、早期に会計処理を行うことが保守的な処理であるという考え方。


    コストの見積もり計算の精度向上という問題はあるものの赤字額をどこまで計上することが
    認められるのかという点は会計処理を決定する上で非常に重要なポイントになってきます。

    例えば、仕掛品として計上されている金額以上に損失を計上することができるのかという問題がある。
    仮に、できるという考え方を採用した場合には、仕掛品の金額を上回った部分について、
    たな卸資産の評価損と考えるべきであるのか、あるいは、将来発生損失に対する引当金と考えるべきであるのか
    といった点についてまで、会計基準において明確にすることによって、初めて統一的な会計処理が可能となります。


具体的な会計基準の明確化の検討

   1.赤字案件の定義付け
     売上計上前に損失が見込まれる案件全てについて

   2.赤字案件の認識単位
     契約の単位または受注可否の検討単位
     ※  受注可否の検討単位とは、複数契約によって1つのプロジェクトが構成される場合に、
        受注判断をプロジェクト単位で行う場合の当該1単位を言います。

   3.赤字案件の損失測定基準
     損失についての考え方を明示した上で、具体的な適用としては次の取扱いが望ましい。
     なお、赤字による全体損益への影響が軽微である場合には、
     実務上の煩雑さを考慮し、売上時に損失計上することも容認できるという意見もあります。
     ただし、この場合であっても赤字の発生状況を継続してフォローし、影響があると認められた時点で
     会計処理を行うことが必要です。
      @ 総見積もりコストが合理的に見込める場合
        コストが既に発生しているか否かを問わず、該当する案件によって発生が予測される損失全額を計上する。
      A 総見積もりコストが見込めない、あるいは見積もり精度が低い場合。
        仕掛品として計上されている金額が契約金額を超えた部分については、発生年度に確定した損失として
        会計処理します。

   4.損失計上科目 (損益計算書)
      @ 原則:売上原価   A 異常な赤字の場合:特別損失

   5.損失計上科目(貸借対照表)
     損失についての考え方が会計基準によって示されることで、貸借対照表項目の取扱いが明確になると言われています。
     例えば、損失の金額が仕掛品の金額に達するまでは、たな卸資産の評価減として仕掛品から控除する。
     仕掛品の金額を超えて将来発生する損失分については引当金に計上するといった会計処理などが考えられます。

    

その他の対応

  1.内部統制での対応
   @ 認識単位の恣意的な変更の禁止
     赤字案件か否かの判断については、 認識単位を恣意的に変更し赤字が隠蔽されないよう、
     社内において統一した認識単位を定めることが必要です。
   A プロジェクトの状況の変化によって赤字が発生することが判明した場合の社内手続きを定め、
     ドキュメント化して周知徹底を図ります。
   B 作業日報の管理や進捗管理を徹底することが必要です。
   C 内部監査を実施し、赤字プロジェクトが適正に報告され、必要な会計的な手当てが取られていることを 
     モニタリングによって確認します。
   D 赤字案件に対するその他の開示 上場会社については、
     IR資料や、有価証券報告書「リスク情報」等の外部公表資料において、
     「プロジェクト管理の方針」、「全般的なリスクの明示」、「リスクを低減させるための会社の対応」等を記載する
     ことによって、外部のステークホルダーにリスクを開示するとともに、赤字案件撲滅に向けた会社の取組みなどを
     開示し、透明性を高めていくことも一案です。

  2.ユーザーにおける対応
    契約時に、ユーザーが負担すべき赤字要因について合意し、費用負担関係について明確にします。

  3.取引慣行・技術的な側面での対応
   @ コスト計算手法の確立による見積もり精度の向上
   A システム設計書、仕様書等の可視化による見積もり制度の向上


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