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IT業・ソフトウェア業の進行基準による収益認識について記載しております。

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IT業・ソフトウェア業の進行基準による収益認識


現状及び問題点

  1.長期、請負型の取引については、
    わが国の会計基準上、収益計上の方法として「完成基準」と「進行基準」の選択適用が可能です。
    外資系企業を除いて「進行基準」を採用している情報サービス企業は少ない。
    社団法人情報サービス産業協会(JISA)の会員企業600社においてもわずかに数社程度と言われています。
    ソフトウェア開発の収益認識基準としては、米国基準においては「進行基準」が望ましいとされています。
    国際会計基準においても、原則として、「進行基準」によって収益を計上しなければならないとされています。

  2.わが国においても、米国基準や国際会計基準を採用している企業グループについては、
    グループ全体の会計方針として「進行基準」を採用している企業もみられます。

  3.「進行基準」については「完成基準」に比して原価計算における進捗管理との整合性が優れていると考えられています。
    しかし、原価見積りについての高い精度等の技術的観点、プロジェクトマネジメントの徹底等の、管理的観点からの
    高い能力が求められています。
    「進行基準」を採用することによってかえって収益の恣意的な計上につながりやすいのではないかという指摘も
    みられます。

  4.ソフトウェアの開発はハイ・リスクでロー・リターン、かつ、労働集約型の産業であるとの指摘もあります。
    プロジェクト・マネジメント、ソフトウェア・エンジニアリングの観点からは、
    産業として「進行基準」を採用できる水準には未だ達していないと考える企業も少なくありません。
    こうしたことも「進行基準」の採用が広がらない理由の一つとされています。

  5.現在は取引所の自主的なルールではあるものの、四半期開示が制度開示として導入される方向で検討が進んでいます。
    情報サービスは、引渡しの時期が3月に集中することが多く、このため、四半期開示によって投資家に適切な情報開示
    を行うためには収益の計上を「進行基準」によって行うことも一案であるという指摘もあります。

   「進行基準」を適用するための条件の整理の検討がポイントとなります。

会計基準による対応

  1. 現行の会計基準においては、進行基準についての記載はあるものの、具体性を欠いており、
    「進行基準」を採用するための具体的な基準を設定する必要があります。

  2. 「進行基準」を採用することができる要件としては、以下の3つを満たす必要があると考えられます。
     なお、要件を満たした場合であっても必ずしも進行基準による収益認識基準が強制されるものではなく、
     開発期間や開発しているソフトウェアの性格などによって、企業として、もしくは事業部等の部門として、
     「完成基準」と「進行基準」のどちらを収益認識基準として採用することが適しているのか検討し、
     会計方針として開示することが必要と考えます。

  3.下記の要件を満たさない場合は、「進行基準」を採用すべきではなく、「完成基準」を採用することが適切
    であると考えられます。
     @ 請負金額の確定:契約(契約と同等の状態)を締結し、請負金額が確定していること。
     A 工数見積もり精度の向上:
       ・作業内容が確定していること。
       ・「全体工数の見積もり」、「実績値との差異分析」、「見積もりの見直し」という一連のサイクルが
        確立されていること。
       ・プロジェクトマネジメントが確立され、経営サイドからの客観的な進捗管理が可能であること。
     B 引渡し完了時期の明確性:引渡し完了時期が合理的に見込めること。

  4.「進行基準」の対象となる契約期間については、1年超とすることが一般的であると言われているが、
     四半期開示の観点からは、1年内の案件についても「進行基準」を採用することが望ましい。

  5.契約期間に関する条件についても考え方を明確にすることが必要。

ユーザーにおける対応

  1. ユーザーによるプロジェクトの適切な分割
     ユーザーがプロジェクトの適切な分割・進捗管理を行うことにより、要件定義及び契約の意思決定が早期化されます。
     この結果、ユーザーのプロジェクト管理が向上するが、同時にベンダーにおいてもプロジェクト管理の向上に役立つ
     と言われています。

  2.中途支払に対する取引慣行の定着
    作業進捗に応じた代金支払に対する理解をユーザーに求め、進行基準によって計上された債権についての回収を
    促進します。

    

取引慣行・技術的な側面での対応

  進行基準を採用するためには以下の取引慣行の整備が必要となります。
   1.ソフトウェアエンジニアリングの向上
     @ コスト計算手法の確立による見積もり精度の向上
     A 進捗度の算定についての精度の向上及び恣意性の排除

   2.開発開始後の契約書の早期締結・発注内容の早期確定
     @ 進行基準を採用するには請負金額の確定が必要であり、ベンダーとユーザーとの間で、
       コスト精算に関する合意等、リスクに対する取り決めを行うなど、契約内容確定の早期化を定着させます。


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