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売上高の総額表示・純額表示
現状及び問題点
1.「商社的取引」に関する会計処理について、わが国では明確な会計基準が存在しません。
しかしながら、わが国では売上高を重視する傾向が強く、
「商社的取引」については、売上高を総額で計上するケースも見受けられます。
「商社的取引」自体は否定されるものではないものの、
仲介取扱高を売上高と表示することによって、
投資家が会社の事業規模に関して誤った判断を下すおそれがあります。
2.実務的には、
企業によって純額表示に関する考え方とそれに対する実際の対応状況について、
各社でばらつきがみられる。
3.純額表示すべき取引としては、付加価値を一つの目安としている企業が多いものの、
付加価値の定義付けが困難であるため、システム・エンジニアが関与していない場合は、
付加価値はないものと判定して純額処理にするなど、形式的な条件を設けている企業もある。
4. なお、「商社的取引」においては取引の実在性を確認することが難しいため、
仲介取引そのものを禁止する企業も出てきている。
売上高の適切な開示(総額表示と純額表示)の検討がポイントとなります。
会計基準による対応
会社の事業規模の適切な開示、投資家の適切な判断等のためにも、
総額で売上を計上すべき取引と、純額で売上を計上すべき取引については、
会計基準によって明確にすることが望ましいと言われています。
米国の会計基準によれば、
付加価値を伴わない取引は売上高を純額表示しなければならないとされています。
わが国において同様の考え方を採用する場合には、付加価値の特定は実務上困難を伴うこと等に鑑み、
形式的な判断基準を例示することが会計処理の安定化につながると考えられます。
形式的な判断基準としては、
例えば次のようなものが考えられるが、情報サービスの取引の多様性を鑑みると、
下記の形式的な判断基準が全てではなく、かつ複合的に勘案したほうが良い場合があります。
■ 売上高の純額表示が求められる取引についての形式基準の例示
@ 自社のシステムエンジニア(SE)が全く作業を行っていないこと。
A 取引から生じる在庫リスク、品質保証リスク、代金回収リスクを自社が一切負担していないこと。
B 販売金額に対して、予め利ざやが固定あるいは一定割合に決まっていること。
C 実質的にはサービス・役務を提供する企業が契約の履行主体となること。
D 外注企業の信用度が低く、ユーザーでの取引口座が開設できない場合に、外注企業からの依頼に
よって、信用力を補完する目的で自社が取引窓口となり取引に介在すること。
内部統制での対応、取引慣行・技術的な側面での対応
1.モニタリングの実施
@ 低利益率の売上案件をチェックし、取引の必要性を検討。
A 本来、ユーザーになり得ない発注先からの案件については、
該当する案件を抽出し、取引内容等を調査。
2.商社的取引に加わることの必要性を検討した上で取引を行う必要があります。
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