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IT業・ソフトウェア業の消費税
国内外のデジタルコンテンツの発信等のサービスに係る消費税の課税関係の見直し
GoogleやAmazonなどの国外事業者からのコンテンツの発信等のサービスについては、
これまでは、消費税は、課税されていませんでした。
平成27年10月1日からは、国外事業者からのコンテンツの発信等のサービスについても
消費税が課税されますので注意が必要となります
消費税法では、「電気通信利用役務の提供」と呼んでいます。
電気通信利用役務の提供に該当する取引は、対価を得て行われる下記の取引になります。
■ インターネット等を通じて行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェア
(ゲームなどの様々なアプリケーションを含む。)の配信
■ 顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス
■ 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
■ インターネット等を通じた広告の配信・掲載
■ インターネット上のショピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
(商品の掲載料金等)
■ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
■ インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト
(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
■ インターネットを介して行う英会話教室
電気通信利用役務の提供に該当する取引の具体例としては、
@ Kindleやkoboなどの電子書籍
A itunesなどの音楽配信
B DropboxやGoogleDriveなどのクラウドストレージ
C GoogleAdwordsなどのネット広告
国内外のデジタルコンテンツの発信等のサービスに係る消費税の課税関係の見直しの制度の
仕組みや留意点などについて、国税庁が公表している「国境を越えた役務の提供に係る消費税の
課税の見直し等」に関するリーフレット、Q&Aを参照してください。
「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等」(国税庁HP)
消費税の簡易課税の事業区分(IT業・ソフトウェア業)
IT業・ソフトウェア業の売上高がその年において1,000万円を超える場合には、
その年の翌々年のIT業・ソフトウェア業の売上高に対して消費税を納付しなければなりません。
消費税の納付の方法としては「原則課税」と「簡易課税」の2種類の方法があります。
■原則課税
(売上でお預かりした消費税) ー (経費として支払った消費税)
■簡易課税
(課税売上高に対する消費税) ー (課税売上高に事業区分のみなし仕入率を乗じて計算した消費税)
※1.消費税を納付する前々年の売上高が5,000万円超の場合には適用できません。
2.適用を受けようとする年の前年までに
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
3.当該届出書を提出した場合には、簡易課税は継続して2年間は強制適用です。
簡易課税の事業区分は、おおむね日本標準産業分類を基礎として判定しています。
日本標準産業分類は「大分類」・「中分類」・「小分類」の3区分に分類します。
ソフトウェア業は、 @ 大分類 G−情報通信業
A 中分類 情報サービス業
B 小分類 ソフトウェア業
簡易課税の事業区分は、第五種事業に該当することになります。
■ ソフトウェアの設計を外注先に依頼し設計させ、顧客に納品する事業も第五種事業に該当します。
■ 情報処理・提供サービス業・インターネット付随サービス業も第五種事業に該当します。
簡易課税の事業区分の詳しい内容につきましては、以下のHPを参照してください。
消費税の簡易課税の事業区分(国税庁HP)
(具体例)
平成26年からIT・ソフトウェア事業を開始したものと仮定。
(従業員は0名でブログやシステム管理などは、全部外注に委託している状況です。)
1.IT業・ソフトウェア業の売上高の推移
@ 平成26年の売上高: 950万円
A 平成27年の売上高:1,200万円
B 平成28年の売上高:1,500万円
C 平成29年の売上高:1,800万円
2.消費税の課税の有無の判断
@ 平成26年(第1期)及び平成27年(第2期)は免税事業者となります。
A 平成28年は平成26年の売上高が1,000万円以下のため、免税事業者となります。
B 平成29年は平成27年の売上高が1,000万円を超えるため、課税事業者となります。
3.原則課税を選択した場合
@ 平成29年の売上高に対する消費税額:1,440,000円
A 平成29年の費用に対する消費税額(経費率40%と仮定):576,000円
B 平成29年に納付する消費税額 @−A=864,000円
4.簡易課税を選択した場合
@ 課税売上高に対する消費税:1,800万円×消費税率8%=1,440,000円
A 課税売上高に事業区分のみなし仕入率を乗じて計算した消費税:
1,800万円×50%(第五種事業)×消費税率8%=720,000円
B 平成29年に納付する消費税額 @−A=720,000円
5.最終的な判断
簡易課税を選択した場合には、原則課税を選択したときよりも
864,000円−720,000円=144,000円、消費税の負担を軽減することができる。
海外からのソフトウェアの借入れ
(Q)当社は、米国のU社からコンピュータのソフトウェア(システム仕様書)を借入れ、
U社の本社と直接賃貸借契約を締結しました。
当該ソフトウェアは直接本社から郵送され、代金も直接本社に送金しています。
U社は日本に支店を有し、そこで営業活動も行っています。
当社の契約は、当該支店と交渉し、契約書の取り交わしのみを本社と行ったものです。
この場合の賃借料は、国内取引に該当し、課税の対象となるのでしょうか。
当該ソフトウェアは、輸入貨物として引き取りの際に消費税が課されるのでしょうか。
(A)コンピュータのソフトウェア等は、
消費税法施行令第6条第1項第7号に規定する「著作権等」に該当するため、
貸付けを行う者の住所地により、資産の譲渡等が国内で行われたかどうかを判定します。
今回のケースは、U社の本社が米国であるので国外取引となります。
ソフトウェアが書類又は磁気テープ等として郵便により輸入される場合には、
当該郵便物は課税貨物に該当することとなり、原則として消費税の課税対象となります。
ただし、当該郵便物の関税の課税価格の合計額が1万円以下である場合には、
関税定率法第14条第18号《無条件免税》に該当し、
輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第13条第1項第1号
《免税等》により、その引取りに係る消費税は免除されます。
(注)ソフトウェアを記録している輸入媒体(キャリアメディア)の価格とソフトウェアの価格
とが区別されている場合には、輸入媒体の価格が関税の課税価格となります。
受注制作ソフトウェアの工事進行基準の消費税の取扱い
工事進行基準によって経理処理された売上高については、その経理処理した事業年度において、
資産の譲渡等を行ったものとして消費税を計算することができます。
なお、工事進行基準によって経理処理されている場合においても、原則どおりに、
受注制作ソフトウェアを引き渡した日の属する事業年度に消費税を申告することもできます。
消費税の負担は、事業者にとって重要なファクターとなっておりますので、
受注制作ソフトウェアの売上高が多額の場合には、検討する必要があると思います。
消費税率の引上げに伴う経過措置
消費税及び地方消費税率について、以下のとおり2段階で引き上げることになりました。
※ 経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引上げの前に、経済状況等を総合的に
勘案した上で、消費税率の引上げの停止を含め所要の措置を講ずることとされています。
区 分 |
現 行 |
平成31年10月1日 |
消費税率 |
6.3% |
7.8% |
地方消費税率 |
1.7% |
2.2% |
合計 |
8.0% |
10.0% |
ソフトウェアを購入する場合の消費税は、契約成立時ではなく、引渡し時の税率が適用されます。
大規模なソフトウェア開発の場合には引渡しまで1年以上かかることもあり、
増税後の税率を避けたいと考えている方が多いと思います。
ソフトウエアの開発等に係る請負契約に関しては、新消費税率施行の半年前までに請負契約を締結した
場合には、旧税率が適用される経過措置が講じられています。
■ 平成31年10月1日(適用日)
平成31年3月31日までにソフトウェア契約を締結した場合には、
ソフトウェアの引渡日が平成31年10月1日以降であっても消費税率は8%となります。
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