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基本的なソフトウェア取引
受注制作のソフトウェア取引とは
受注制作のソフトウェアの契約形態の基本的な概念は以下のとおりです。
@ 請負契約
ベンダーがある業務を完成させることを約束し、
ユーザーはその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約。
A 準委任契約
ユーザーが一定の業務処理をベンダーに委託し、
ベンダーがそれを承諾することによって成立する契約。
B SES契約
ベンダーが自社の従業員等をユーザーに常駐させ、
プログラミング作業等のソフトウェア制作業務支援を提供する契約。
C 派遣契約
ベンダーが委託会社に人員を派遣し、委託会社の指示のもの労働に従事させる契約。
受注制作のソフトウェア取引の注意点
会社の事業規模の適切な開示、投資家の適切な判断等のためにも、
総額で売上を計上すべき取引と、純額で売上を計上すべき取引については、
会計基準によって明確にすることが望ましいと言われています。
■ 請負契約は、ソフトウェアを完成させ納入する責任があり、
当該ソフトウェアに、瑕疵があった場合には、瑕疵担保責任を負う。
■ 請負契約以外の契約は、
ユーザーからの受託を善管注意義務をもって処理する。
完成義務がなく、瑕疵担保責任も負いません。
※ 請負契約の方が、他の契約よりも責任があることを肝に銘じる必要があります。
※ ソフトウェア業の会計処理においては、契約形態の形式のみで判断するのではなく、
実質も考慮して判定する必要があります。
受注制作ソフトウェア取引の制作工程
「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」
(経済産業省:平成19年4月より。)
1.企画・要求定義段階
@ システム化の方向性 準委託型
A システム化計画 準委託型
B 要件定義 準委託型
※ 企画・要求定義段階では「準委任契約」。
・ユーザ側は、
業務要件が具体的に確定していないため、フェーズ開始時点での具体的な成果物を想定できない。
・ベンダー側は、具体的な成果物が確定していないため、「請負契約」は不適切である。
2.開発段階
@ システム設計(システム外部設計) 準委任型・請負型
A システム方式設計(システム内部設計) 請負型
B ソフトウェア設計 請負型
C プログラミング 請負型
D ソフトウェアテスト 請負型
E システム結合 請負型
F システムテスト 準委任型・請負型
G 受入・導入支援 準委任型
※ 開発段階では「請負契約」と「準委任契約」の両方でOKです。
システム設計(システム外部設計)と受入・導入支援は、ユーザー側の業務要件に関わる部分が
多数占めるため、「準委任契約」が妥当。
その他の工程については、成果物の内容が具体的に特定できるため、「請負契約」が妥当。
3.運用段階
@ 運用テスト 準委任型
A 運用 準委任型・請負型
※ テスト環境における運用テスト及び本番環境でのソフトウェアの稼働確認
4.保守段階 準委任型・請負型
※ 納入したソフトウェアの維持管理を行うことを目的
5.最後に
IT会社の方々は、自分自身がどの制作工程に携わっているのか意識していますか。
受注制作ソフトウェアを一括で受注する場合、各制作段階での契約形態を把握していますか。
もう一度、ご確認をしたほうが良いと思います。
市場販売目的のソフトウェア取引とは
市場販売目的のソフトウェア取引の基本的な概念は以下のとおりです。
@ 不特定多数のユーザー向けに開発した各種ソフトウェアの販売やライセンス販売
(ライセンスの使用を許諾し使用料を得る契約)をいいます。
A 製品マスター(複写可能な完成品)を制作し、これを複写したものを販売する取引をいいます。
(具体例)
・表計算ソフトウェア ・ワープロソフトウェア
・給与計算ソフトウェア ・財務会計ソフトウェア
・パソコンの基本ソフトウェア など
自社利用目的のソフトウェア取引とは
自社利用のソフトウェア取引の基本的な概念は以下のとおりです。
(ソフトウェア実務指針より)
1.社内業務を効率的又は効果的に行う目的
@ 財務会計ソフトウェア
A 固定資産管理ソフトウェア
B 販売管理ソフトウェアなどの社内業務の基幹系ソフトウェア
2.第三者への業務処理サービスなどの提供目的
@ 給与計算業務を受託している場合の給与計算ソフトウェア
A 経理業務を受託している場合の財務会計ソフトウェア
B ASPサービスに提供しているソフトウェア
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