アフターコストと収益との期間未対応
アフターコストと収益との期間未対応の現状及び問題点
1.ソフトウェア業におけるアフターコストとは、
一般的に、検収後6ヶ月〜1年間の瑕疵責任期間に発生した不具合の修復コストをいいます。
2.アフターコストは、将来に発生するコストではありその発生は販売に起因する費用です。
そのため、本来は収益計上時にアフターコスト相当を見積もり、
販売に対応するコストとして費用計上する必要があります。
しかし、実務上は売上に対してアフターコストの発生が少額であるという理由から、
引当金を計上していない企業も少なくないと言われています。
3.想定外の異常なバグが発生したケースについては、
その会計的な対応が明確ではなく、発生の都度、損失処理を行う企業や修復費用を合理的に見積もることが
できた段階で引当金に計上する企業などその対応が分かれています。
4.一部の作業を残してユーザーから検収を受けた場合や、
成果物の要求定義が曖昧だったためベンダーの負担によって機能追加を行うことになった場合など、
検収後に追加の作業が発生することがあります。
このような追加原価は、本来のアフターコストの定義とは異なるものであり、
検収の適正化によって解決すべき問題であります。
アフターコストの見積計上が検討のポイントとなります。
会計基準の運用・判断基準での対応
1.アフターコストの実績把握
@ アフターコストに金額的な重要性が無いと判断するためには発生実績を集計できなければならない。
A アフターコストの発生額は、これを時系列に集計し、発生原因等の分析を行うことによって異常値を排除した
過去の実績率が集計することができます。
この結果、過去の実績率を用いて、代替的に将来のアフターコストの見積もり計算を行うことも可能となります。
2.アフターコストの計上時期及び計上金額
@ 通常のアフターコストが発生する場合:
原則として収益計上と対応して発生見込額を費用計上します。
ただし、発生額が著しく少額であれば発生時に費用計上も可能です。
A 異常なアフターコスト発生の場合:
異常なバグが発生した時に、個別案件毎に発生見込額を費用計上します。
3.アフターコストの計上科目
@ 通常のアフターコストは発生の要因に応じて売上原価もしくは販売費に計上します。
A 異常なアフターコストは特別損失(原価計算基準に準拠)に計上します。
その他
1.ユーザーにおける対応
ユーザーはバグがある限り検収を行わない傾向があります。
しかし、バグの発生を100%防ぐことは技術的に不可能であると言われています。
従って、バグの発生によるトラブルを回避するため、品質のレベルについてはユーザーとベンダーとの事前合意が
必要となります。
2.取引慣行・技術的な側面での対応
・品質目標の設定
ユーザーとベンダーとの間でのアフターコストに対する以下の共通認識を持つことが必要です。
@ 有償の作業と無償の作業の区分けの明確化
A 引渡後の性能(パフォーマンス)向上作業(チューニング作業)についての、
ユーザとベンダーとの間での費用負担の明確化
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