IT業・ソフトウェア業の架空取引の発覚
ソフトウェア取引の現状及び問題点
ソフトウェア取引に限っての特有の問題ではないが、架空の取引を迂回させて、
売上高や利益を増加させる不正取引が起こることがあります。
不正が起こるということは、社内の管理体制に脆弱な部分があるとの指摘があります。
特に、「商社的取引」のように、
取引が書類上だけで経由しているような場合には、その取引の存在自体を確認することが難しいとされています。
ソフトウェアの開発作業の場合には、制作に必要なドキュメントや社内工数などを作成されることから、
当該ドキュメント等を通じて、ソフトウェア取引の実在性を把握することは、
「商社的取引」と比較して容易であると思われますが、
架空取引を発見・防止することができる内部統制の構築が必要となります。
ソフトウェア取引の内部統制の対応(受注審査の徹底)
1.全般事項
@ 受注から売上計上、売掛金回収までの一連の取引について業務フローを見直します。
A コンプライアンス(法令順守)を徹底的に意識させます。
2.受注審査の徹底
@ ドキュメントの整備
・ 受注審査時に見積書・契約書(もしくは注文書)を整備します。
・ 小口の注文については顧客とのドキュメントの取り交わしを行わず、口頭で取引が成立する ケースがあります。
原則としてドキュメントを取り交わすべきであるが、不正発生のリスクを十分検討した上で、
実務的な煩雑さも考慮し、口頭発注の内容を社内資料として記録に留めドキュメントとして
保存しておくという方法も考えられます。
A 受注承認
・ 最終ユーザーの特定、外注先への発注内容、成果物、入金条件等、取引全体の流れを把握し 、
多角的に取引の実在性を検討します。
・ 同業他社からの発注案件については内容を検討し、取引の必要性を検討します。
ソフトウェア取引の内部統制の対応(外注検収の厳格化)
1.ドキュメントの整備
@ 外注先への発注承認時に、実行予算書等のコストの見積書を作成し、外注先からの見積書を整備します。
A 外注先からの納品・検収時に、外注先からの作業報告書、稼働報告書、納品書等を入手します。
2.検収承認
@ 発注内容と納品内容との照合。
A 発注担当者と検収担当者の職務分掌による牽制。
B ソフトウェアは技術的知識やノウハウによって構成されるものであるため、
発注者と検収者の分離が難しいという意見もあります。
しかしながら、職務分掌は内部統制の基本です。
日常の内部統制の中で不正を発見するチェック体制を構築していくためには、
発注内容の可視化等、検討課題は様々あるものの、職務を分離していくという姿勢が重要です。
ソフトウェア取引の内部統制の対応(モニタリング・内部監査の実施)
1.モニタリングの実施
@ 利益率をチェックし、異常な利益率の取引については内容を検討します。
A 売掛金の滞留状況をチェックし、滞留理由の把握と回収可能性を検討します。
B 期末日直前に受注し、納品を完了している売上取引の有無及び内容を検討します。
C 期末日直前での多額な売上取引の有無及び内容を検討します。
D 期末日直後の多額な返品取引の有無及び内容を検討します。
2.内部監査の実施
内部監査部門、内部監査担当者を設置し、不正取引の発見に努めるとともに、
不正防止にむけての啓蒙活動を行います。
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ナビゲーション IT業・ソフトウェア業関連の架空取引の発覚について記載しております。足立区北千住の山田一成税理士事務所。