IT業・ソフトウェア業(個人事業主)の開業前の節税対策
開業費とは
個人事業主の場合には、「経常的に発生する費用」についても開業費として計上できます。
具体的な内容については、下記のとおりになります。
@ 広告宣伝費
A 市場調査費
B 接待交際費
C 旅費交通費
D 従業員の給料
E 事務所の賃貸料・水道光熱費 など
個人事業を開始する前に発生する費用を、
その支出の内容を把握するために、請求書や領収書などの書類を整理し、管理することが重要となります。
開業準備期間中の費用を漏れなく管理することが節税対策の第1歩となります。
開業費の会計処理
開業費の会計処理は、以下のとおりになります。
@ 繰延資産として資産計上します。
※ 繰延資産とは、将来の期間に影響する特定の費用をいいます。
その効果は当期のみならず、来期以降にも影響を及ぼすものをいいます。
A @の繰延資産を5年の均等償却により費用計上することができます。
B @の繰延資産のうち、費用計上を行っていない未償却残高を限度として、任意に費用計上することもできます。
個人事業の当初は、
開業準備費用が多額に発生し、事業活動が軌道に乗っていないこともあり赤字になるケースが多い。
開業費を繰延資産として資産計上しておき、
毎期の決算利益の状況を踏まえながら償却費を決定することが節税に繋がります。
開業費の質疑応答事例(国税庁)
(Q)青色申告者Aは、7年前に病院を開業しました。
前年までは、赤字の繰延資産(開業費)の3億円の償却費を必要経費に算入しておりません。
Aはこの繰延資産につき、本年分及び翌年分の確定申告において、1億5千万円ずつを償却費として
必要経費に算入することができますか。
(A)任意償却が可能な繰延資産の未償却残高は、いつでも償却費として必要経費に算入することができます。
60ヶ月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によります。
@ 任意償却は、繰延資産の範囲内の金額を償却費として認められています。
その下限が設定されていないことから、支出年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと
解されています。
A 繰延資産となる費用を支出した後60ヶ月を経過した場合に、償却費を必要経費に算入できないとする
特段の規定がないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入できます。
支出した開業費の内容及びその開業費の額が、
過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにする必要があります。
繰延資産の消費税の対応
創立費、開業費又は開発費等の繰延資産に係る課税仕入れ等は、
その課税仕入れ等を行った日の属する課税期間において行うことになっております。
(消費税法30条、消費税法基本通達11−3−4)
個人事業主は、事業開始期において、消費税を免除のところが多いため、
繰延資産を任意償却する際には、消費税の区分を十分に注意する必要があります。
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